産後半年以内に多く発病する深刻な現代病

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〈Vol. 5〉 産後半年以内に多く発病する深刻な現代病
10人に1人がかかっている“産後うつ病”

 「子どもは産む前よりも、産んだあとのほうが大変よ」と出産経験者はよく言います。実は、これには身体的な大変さ以上の深い意味も込められているのです。今、さまざまなメディアで特集が組まれるほど、問題視されている“産後うつ病”について、宇都宮市大寛町のうえの医院・上野裕さんに聞きました。

 出生数が減り続けているのと反比例するように、妊娠した女性の出産することへの関心と要望は、年々高まっています。そうした思いを受け、産科施設ではさまざまな出産方法を提示したり、陣痛から出産までの苦痛を小さくしようとする取り組みがなされています。出産そのものに対する、心と体に対するケアは、以前に比べて格段に向上していると言えます。
 しかし、出産後のケアについては、十分な配慮がなされているでしょうか。残念ながら、過去と同じレベルでしかないのが現状です。おまけに、核家族が増えている現在、お母さんと子どもが孤立してしまう状況で、誰にも相談できないまま、育児にうまく適応できずに苦しんでいるお母さんが増えています。
 初産婦の80%くらいは、出産の2・3日後から、気分の落ち込み・イライラ・不安・不眠などの不調を感じることがあります。これを“ベイビー・ブルース”と呼びますが、多くは1週間以内に自然に治ってしまいます。けれども、そうした不調が長引いたり、出産後しばらくしてから、より重い心身の不調(産科的以外に)が発生する場合があります。これが産後うつ病です。

■ 自分と子どもを傷つける前に
 これは10人に1人という割合で、誰もがかかる可能性のある現代病、と言えます。子育てのストレスが過労を生み、さらに、“子どもをちゃんと育ててこそ立派な母親”という考え方に追いつめられて、脳の活動が低下し、うつ的になってしまうのです。
 子育てに不安やつらさを感じたら、なるべく外に出ることと、自分の時間を持つこと。そして夫や周りの人に、自分のつらさを話し、協力してもらうことです。子育て中のお母さんを支援する、さまざまな団体を利用するのもいいでしょう。
 放っておくと、自分や子どもを傷つけたりする危険性もあり、自分一人では対処が難しいので、なるべく早い段階で受診することをお勧めします。