わかっているのに、止められない「強迫神経症」

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〈Vol. 11〉 わかっているのに、止められない「強迫神経症」
不安や恐れの悪循環が日常生活を困難に

 “こうなっちゃったらどうしよう”と、悪い方向へ考えてしまう最悪シミュレーション。最悪な事態に備えるためならいいけれど、不安から日常生活が送れなくなることも。宇都宮市大寛町のうえの医院・上野裕さんに「強迫神経症」について聞きました。

 最近、「強迫症」に関し、2人の方から相談を受けました。1人は「鍵をかけて外出したつもりでいても、家から離れると本当に鍵をかけたかどうか心配になる」。もう1人は「小学校に入学したばかりの長男が、学校でちゃんと勉強しているか、ちゃんと給食を食べたか心配で仕方がない」。どちらも、「こんな風に考えてしまう自分は強迫症なのか?」というもの。
 蕫強迫﨟とは精神心理学的に、無意味または不合理と思われる考え、行動が支配的となっている状態と説明されます。つまり、考えまいとしていても、何度も何度も思い浮かび、頭から離れない。前者がそうです。
 誰でも強迫観念に襲われることはあります。その強迫観念による不安や苦痛を打ち消すために、同じこと(強迫行為)を繰り返し、日常生活に支障が起きた場合を「強迫神経症」(専門的には強迫性障害)と呼びます。汚れてしまうことを恐れて、何度も何度も手を洗ったり、公衆電話や電車のつり革が使えなくなる。いつも決まった場所に整理整とんされているかが気になり、仕事が手に付かなくなる。自分でも無意味だとわかっていて、止めたいと思っているのに、止められないのです。

■ リズムを合わせる訓練を
 強迫神経症の方を診ていますと、不安・抑うつ神経症の方よりも、性格的な要因が強いように感じます。「世界の中で自分だけ心理的に孤立しており、世界の波長やリズムに自分のリズムが合わない」。強迫症に悩む人々は、自分のリズムに不本意ながらも執着し、自らも無意味だと思える行動を繰り返しているように感じ取れてなりません。
 まずは、医師の診察やカウンセリングを受けてください。さまざまな治療法があり、医師が有効な治療法を選んでくれます。また、川の流れや波の音に心をゆだねる、リズム感にあふれる短歌や俳句を口ずさむ、しなやかなリズムを持つ音楽を心に刻むなど、自身でも、世界のリズムと自分のそれが交歓して生きられるような時を持ってみてください。