「対人恐怖症」と呼ばれていた「社会恐怖症」とは?

...
〈Vol. 14〉 「対人恐怖症」と呼ばれていた「社会恐怖症」とは?
毎日の生活にあるコミュニケーションへの不安や恐怖

 授業で人前に出て発表する、PTAなどで大勢の人や初めての人に会う、というのは誰でも少なからず緊張するもの。しかし、それが恐怖感となって社会生活に支障をきたす「社会恐怖症」が増えているとか。宇都宮市大寛町のうえの医院院長・上野裕さんに伺いました。

 「他人の視線を受けると気になって仕方がない」という人が、15歳前後の男性で45%、女性では60%もいるというデータがあります。それが、20歳代後半以降では10%に急降下するそうです。
 しかし、他人の視線を強く意識し続け、日常生活に支障をきたす「社会恐怖症」と診断される人もいます。以前は「対人恐怖症」と言われていたこの疾患について説明しましょう。

1) 他人に紹介される
2) 皆の注目を浴びている
3) 自分にとって重要な人物や目上の人に会う
4) 少人数で会話する

 これらに際し、激しく緊張・恐怖した結果、

1) 心拍数が跳ね上がる
2) 顔面が真っ赤になる
3) 口やのどがカラカラに渇く
4) 手が震える

 などの状態になる。患者自身、自らの恐怖・緊張が過剰反応で合理的ではないと分かっています。しかし、人と接する場になると、このような状態に陥ってしまう。そして、低く自己評価し、他人の批判・哄笑(こうしょう)を恐れて、コミュニケーションを回避しようと考えるのです。

■ 思春期に多く、中年でかかる人も
 多くの場合、思春期前半までに発症しますが、中年になって初めてかかる人もいます。また、女性は男性の2倍かかりやすいと言われます。
 原因は、医学的には、恐怖感をコントロールする大脳の一部に問題が生じる、あるいは内分泌的不調。心理学的には、他人の行動とその結果を悲観的に見てしまうことで、人と接することの難しさが深層に植え付けられた、と考えられています。私は「無意識に感じる自分へのこだわりと、それを他人には知られたくないという遠慮深さの矛盾が、原因の一つである」と考えます。
 治療は、森田療法・認知行動療法といった精神療法と、神経症治療薬や安定剤による薬剤療法が多く用いられます。また、疾患の性質上、対人関係を重視したグループ療法が今後の治療法として期待されています。自分やお子さんに思い当たる症状があるようなら、専門医を受診してください。