疲れは体の異常を訴える警報

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〈Vol. 15〉 夏の不快さによるダメージがツケとなって現れる9月
疲れは体の異常を訴える警報

 最近「疲れた」と感じて、家で一日中ゴロゴロしたり、マッサージを受けたけど、なかなかだるさが取れないということはありませんか? 宇都宮市大寛町のうえの医院院長・上野裕さんに、“疲れ”のメカニズムと、効果的で簡単な対処法を伺いました。

 9月に入ってから“疲れ”を訴え来院する患者さんが目立つように思います。長く、蒸し暑い夏がもたらした浅い眠り、食欲不振、運動不足、冷房の浴びすぎ、冷飲料過摂取などが、多少とも涼しくなった9月にツケとなって現れたようです。
 “疲労=疲れ”とは、肉体の酷使、精神的ストレス、睡眠不足に対する生理的で重要な反応なのです。厚生労働省の「疲労に関する研究班」は「疲れは、身体の異常を教え、何らかの対応をせよと考えさせてくれる、大切な警報」と述べています。そして、その疲れを最初に感じる場所は、神経症やうつ病の発生と深く関連するホルモンによって働きが調整される大脳前頭皮質・ブロードマン10野だと言っています。すなわち、「脳内での疲労が回復しなければ、体をいたわるだけでは疲労は完全には回復しない」ということです。

■ 緑や音楽が疲労回復に役立つ
 では、どんなことをしたら脳の疲労を回復できるのでしょうか。前述した研究班は蕫緑の香り﨟を浴びることを一番に推奨しています。森や林に身をゆだね、緑の香りを満喫したときの心地よさは、誰しも経験済みでしょう。音楽を聴くことも脳疲労の回復に役立つ、と私は確信しています。例えば、ワーグナー「ジークフリート牧歌」、ドボルザーク「アメリカ」、ボロディン「弦楽四重奏第2番」、ヴォーン・ウィリアムス「ひばりが昇っていく」など。
 反対に疲労が続いてしまうと、身体的な症状が加わる場合があります。具体的には、微熱、咽頭痛、筋肉痛、頭痛、羞明(しゅうめい)、下痢、腹痛といったもの。さらには、もの忘れ、睡眠障害、イライラ、不安感などの精神・心理的症状も出現する場合もあります。
 また、心臓疾患や糖尿病、悪性腫瘍などの重大な疾病が原因で疲労を感じる場合もあります。十分な睡眠、健康的な食事、心のリラックス、適切な仕事量、ストレスの少ない環境への移動を心がけても疲労が回復しない時は、躊躇(ちゅうちょ)なく医師の診察を受けてください。