女性を悩ませる更年期障害—その原因、治療、副作用—
vol.48
日本産婦人科学会が提示したホルモン療法の指標案とは
女性を悩ませる更年期障害—その原因、治療、副作用—
女性の心と体を大きくゆさぶる更年期障害。その治療法として有名なのがホルモン療法です。でも、副作用に対する不安もつきまといます。これに対し、医療現場はどうとらえているのか。宇都宮市大寛町のうえの医院院長・上野裕さんが、最新情報を教えてくれました。
閉経(卵巣機能が停止すること)による最大の変化は、卵胞ホルモン(E)が著しく低下することで、その前後に心身の不調が起こった場合を更年期障害と呼びます。
E低下の直接的影響として起こる症状は、皮膚粘膜の萎縮・顔面などのほてり・不快な汗・骨の弱体化による痛み、など。間接的影響としては、憂鬱感・不安感・不眠・めまい・頻尿・動悸・肩こり、などが挙げられます。
対策として、Eの補充が挙げられますし、実際に有効性は明白です。しかし、Eによる副作用(特に、子宮体ガンと乳ガンの発生を高める可能性)も無視できません。有効性と副作用のジレンマは、婦人科医積年の悩みとなっています。
■卵胞ホルモンの効果と副作用
こうした状況を打開すべく、日本産婦人科学会は内外の文献を参照して、昨年12月にホルモン療法(HT)の指標案を提示し、会員に意見を求めたのです。
最新の情報として、指標案の中で妥当性と重要性が高いと思われる部分を抜粋して紹介します。まず使用禁忌とされているのは、重度の肝疾患・乳ガンや子宮内膜ガンの罹患者と既往者・原因不明の子宮出血・妊娠中・血栓症の罹患者と既往者・冠動脈疾患・脳卒中既往者。また、60歳以降からの使用は効果が期待できないようです。
次にHTの効果について。㈰ほてり感・頻尿・関節痛を改善する ㈪骨密度を増加する ㈫悪玉コレステロールを下げ、善玉を増やす ㈬血圧に変動を与えない ㈭閉経後の認知能力を改善する ㈮更年期の抑うつ気分を改善する ㈯皮膚の厚みを増す ㉀性器粘膜の萎縮を改善する。また、過活動膀胱にも有用だとされています。
副作用は、㈰不正子宮出血 ㈪乳ガンを増加させるとは断定できないが、黄体ホルモン(P)との混合療法でリスクを高める ㈫血栓症の発生を2〜3倍増加させる ㈬子宮内膜ガンの発生を高める(Pを併用すれば高めない)、などです。
なお、最近話題の微小血管狭心症についての言及はありませんでした。