« 2009年10月 | メイン | 2009年12月 »

2009年11月 アーカイブ

2009年11月06日

vol.14 “日本の食料自給率”は大丈夫か?

vol.14
“日本の食料自給率”は大丈夫か?
(バーチャルウォーター) 追補㈼

 日本が、世界中から大量の食料を輸入し、その輸送のために膨大な量の石油等を燃していることは、世界の環境に悪い影響を与えているとの批判があると前回指摘しました。
 この日本の食料の大量輸入には、ほかの観点からも問題の提起がなされています。それは水の問題です。大量の食料輸入を続けることは、食料の輸入そのものに加え、大量の水を輸出国から輸入国へ移動させていることでもあります。もともと農産物の生産には大量の水が必要です。この必要となる計算上の水の量を「バーチャルウォーター(仮想水)」と言うことにします。
 穀物の場合を例にとってバーチャルウォーターの量を計算する方式は、栽培農作物に必要な1日のかんがい水量×栽培日数を分子に、面積当たりの収量×歩留り率(全重量中の可食部分の重量)を分母に計算します。ちょっと難解かもしれません。要するにこの方式によるわが国の食料輸入量に必要なバーチャルウォーターの量を算出すると、1年間に640億kとなるのだそうで、国内の年間のかんがい用水使用量590億kとほぼ同程度の水が、食料の輸入によって日本の国内で使わずに済んでいることになるのだそうです。膨大な食料を輸入しているということは、食料の輸入そのものに加え、膨大な量の水を輸入していることでもあるという考え方です。
 日本が、日本国内の農地やかんがい用水を使用せず、食料を輸入し続けると、地球の耕地の砂漠化を進める結果になるとの批判にもつながってきます。半年ほど前の夜のNHKテレビの報道番組を見た人もいると思いますが、アメリカの内陸部の降雨量は少ないが地下水が豊富にある土地で、地下水を大量にくみ上げ、地上で大量のトウモロコシを作り、これを日本に輸出し続け、やがて地下水が枯渇し、農地が使えなくなると、農家はその農地を放棄し、ほかの土地に移り、また地下水をくみ上げ、穀物を作るということが繰り返されている現地リポートです。言ってみれば、日本が穀物の大量輸入を続けていることが、他国の農地の砂漠化を推進しているという現状の指摘でした。
 私もこのテレビの映像をみて、これで日本はいいのだろうか。もっと日本は真剣に国内で作られたものを利用し、食料の輸入は極力少なくする、食料の自給率を高める必要があるのではないかとしみじみ感じました。英国も日本同様食料自給率が40%台に落ちた時期がありましたが、その後改善に努め、今は70%台に回復しているそうです。この稿、わかりにくかったかも知れませんが、自給率の向上の必要性を少しでもくみ取って頂けたら幸いです。
 長い間下手な文章を読んで頂きありがとうございました。

2009年11月13日

不登校のお子さんは、あわてずじっくり

桃井真里子のちょっとからくちTALK
不登校のお子さんは、あわてずじっくり

 年長の子どもたちの話をしたいと思います。不登校で受診する中学生、高校生がたくさんいます。新しい環境に変わったとたんになんとなく、不登校になる例が多いのです。
 親はあわてます。せっかく受験校に入学したのに、これまでいい子で問題なかったのに…と、一体どうしたら良いのか、親だって分かりません。父親はしかるし、母親はおろおろするし、で、子どもだって一体どうしたいのか分からないのに、親があわてるので余計に閉じこもってしまいます。子どもが一番苦労しているのです。親はあわてないでください。

子どもたちは
必ず自分の足で立ち上がり、歩き出します

 受診後、よく聞いてみると、小学校時代だって決して学校は好ましい場所ではなかったのです。それでもまだ、なんとなく我慢しながら登校していたのですが、受験が終わってほっとしてみると、新しい環境が自分には異世界のように思えてどうしても行けない状況になるのです。
 思春期は社会性に係わる脳機能が急速に変化する時期で、脳の中で急激な変化が生じます。その変化と環境の大きな変化が重なって、これまで耐えてきたことが急に耐えられなくなるのです。外出はしにくいし、親には顔を合わせればいろいろ言われるし、部屋に閉じこもるしかない、という状態です。

 家庭内で対応するのはまず困難ですので、ベテランの小児科医か小児神経専門医、または小児精神科医を受診してください。抗うつ薬を必要とする子どももいますが、子どもたちは必ず、自分の足で立ち上がり、自分の方向に向かって歩き出します。
 この説明を最初にすると、どの親も半信半疑です。すぐに学校に行く特効薬を求めます。
 急がないでください。子どもは時間をかけていろいろ経験して成長するほど、将来の力になるのです。温室促成栽培は人間にはいけません。自分の方向が、親の希望と大きく異なることもしばしばです。
 学校名などは、自分の心の中の思い出であれば良く、外に向かって言うほどのものではないと言ってやってください。それが子どもの将来を力強くつくり出します。
 この時期を抜ければ、子どもは一段と強くなります。つらさを知った分だけ、他人への理解も深まります。
 親は我慢して見守る、それが一番の仕事です。通り抜けた後に、我慢して見守ってくれていた親への信頼度は、ぐっと増してくるものです。

2009年11月20日

自分の時間を大切にしてますか?(子育て)

上野通子のちょっとからくちTALK
自分の時間を大切にしてますか?(子育て)

 みなさんは、「子育て」の時期を何歳くらいまでと思っていますか?
 「子育てで、自分の時間などない」という人がよくいます。子どもの学校のこと、塾やお稽(けい)古の送り迎え、PTAや部活の付き添い、3食のごはん支度に洗濯・掃除。あれもこれもで、主婦の一日はあっという間。仕事をしていたらなおさらです。
 「今は子育ての時期だから、当たり前」と考えている人も多いでしょう。でも、その時期がいつまでのことなのか、考えたことがありますか?「子どもが大学に入ったので、やっと子育ても一段落」という人もいますが、私は子育ては「つ」のつく年齢まで、と教えられて育ちました。

子育ては9歳まで。それからは、自分の生き方を子どもに見せる
 「つ」とは9つのこと。9歳です。小学校高学年で子どもたちは思春期に入ります。思春期は親離れの時期。お母さんも子離れの時期です。
 私も、イギリスに家族で4年間住むまでは、私なりに“完璧な主婦”を目指し、子育てに取り組んでいました。3人の娘の母として「子育ても主婦業も完璧にこなし、明るく幸せな家庭を築く」。これが私の理想であり、子どもたちにも夫にも幸せなことと信じていました。でもそれは、もしかしたら娘や夫には息苦しいことだったかも。
 長女、二女、三女と次々と子育てするうちに、昔、親から教えられた「『つ』のつく年までしっかり子育てし、その後は少し離れたところから見守り成長を助けること」を思い出しました。そして、三人目のころは9つまでしっかり子育てすれば後は、“ほっといても育つ”ことが分かったので、それほど気負わずに子育てができました。“親がここにいる”という、安心感と信頼感を一番に考えて育てました。私たち親は、「あなたを、いつもしっかり見守っている」ということさえ伝えられたら、子どもは安心して勝手に育っていくようです。
 そして、子育てが終わったら、次は自分のステップアップです。親がぐうたらしながら、『子どもにしっかりしなさい』とは言えませんからね。親も夫婦の時間を大切にしながら、常に夢や希望を持って頑張る姿を子どもに見せて欲しいです。
 それは、大それたことでなくてよいのです。趣味やボランティア、読書、スポーツなど、なんでもよいのです。「自分自身を成長させてくれることに向かって、お母さんも頑張っている」という姿を子どもたちに見せることで、子どもたちは大人への憧れや夢や目標が持てるのではないでしょうか。まずは、ちょっとの時間をみつけて、何かにトライしましょう。

2009年11月27日

女性ホルモンについて正しい知識を身につけましょう

プラスに働く卵胞ホルモン、マイナスの面も持っている黄体ホルモン
女性ホルモンについて正しい知識を身につけましょう

 自分の体のことなのに、女性ホルモンの働きや作用については、意外と知らないもの。体調を管理する上でも、正しい知識を持っていたいですね。宇都宮市大寛の「うえの医院」院長・上野裕さんに、女性ホルモンについて教えていただきました。

 思春期から閉経まで、女性にとって大きな影響を与えるホルモンが卵胞ホルモン(E)と黄体ホルモン(P)であることを、このシリーズで話したことがあります。けれども、女性ホルモンについての質問が増えているそうなので、基礎体温(朝、起床前に口腔内で測定した体温)のことも含めて述べようと思います。
 卵巣から分泌されるホルモンはEとPの2種類で、ある場合には協力的に働きますが、多くの場合は対照的な作用を女性にもたらし、基礎体温に変化を与える主役です。

■EとPの働きとは?
 Eは常に分泌され、女性としての日常に深く関与します。
(1)乳房を発育させ、臀(でん)部を豊満にする 
(2)代謝を省エネ化する (3)心理を安定させる 
(4)血液中のコレステロール値を下げる 
(5)骨を丈夫に保つ
 が主な作用です。月経開始から排卵まではEのみが分泌され、基礎体温は低温期を示します。
 排卵後に分泌されるPは、Eが下準備してきた子宮内膜を大幅に厚くして、受精卵を子宮に宿すために働くホルモンです。排卵後もEは分泌され続けますが、Pが優位で、基礎体温は0・5度ほど上昇します。この期間を高温期と呼びます。
 そしてPは、女性にあまり有り難くない副作用を有しています。
(1)体温の上昇によるホテリ感 
(2)便秘、過剰な食欲増進 
(3)むくみ 
(4)イライラ感・気分の落ち込み・不眠
 などです。こうした状態が日常生活を阻害するようですと、「月経前障害」と考えた方が良いでしょう。
 さて、排卵が規則的に繰り返されれば、基礎体温は低温期と高温期が規則的に交代するグラフになります。低温期は人によって日数が違います。多くは14日〜16日で、排卵が不順な方の低温期の長さはランダムです。排卵が遅れているとずっと低温が続きます。高温期は14日が標準で、それ以下の場合は黄体機能不全の可能性もあります。また、14日以上のときは妊娠を考えます。

自己管理する能力を身につけさせる

井上初代のちょっとからくちTALK
自己管理する能力を身につけさせる

 日本では子どもが大人になったとき、「自分の生活は自分で計画し、自分流に管理する」という、外国ではごく当たり前のことが、欠落していると言われてきました。それはその観点で自主自立の生活の基盤が育てられてこなかったからだというのです。そこで改めて、その目で発達をみると、5歳児は自主自立が芽ばえ、育つ好機であることがわかります。
 5歳児のころの子どもは、「みずから計画し、実行しそれを完成させる」を経験することに魅力を感じ、意欲的にとりくみます。その積み重ねの結果が貴重な経験として生きて育っていくのだと考えます。
 ある幼稚園では、この経験の積み重ねを実践する試みをしています。例えば5歳児の10月ころから、「おべんとうの食前準備、食事、食後の片付け」の約1時間を、子どもたちだけで計画・実行・完成させています。 
 実際にはこの日の役割を持った子どもが、今日の日程をこなします。当番はほかの子ども同様好きな遊びを11時からしていますが、全員集まって食事する11時40分までには、各自当番のペースでころ合いを見計らって遊びを止め食前の準備を整えます。この40分内の時間の使い方は各当番の自由にまかされています。準備内容はわかっているので、ゆっくり丁寧に支度をしたい子は早い時間から、手順よく手早く整えられると思う子は遊び時間を十分とります。先生は完全に子どもにまかせて見守ります。子どもがうまくいかずにとまどっても、自分で完成させるのを待ちます。
 かずおは、今日の当番ですが、好きな遊びを中途でやめられず遊んでいて、あわてて当番の仕事にかかりました。時すでに遅く、準備が終わらないうちに全員が食事に集まってしまいました。グループの子はかずおの状況を察知し、作業がはかどるように協力しました。かずおは、『協力ありがとう、迷惑かけてごめん』という態度で大いに反省したようです。次の当番のときは、ころ合いを見計らい役割を見事果たしていました。
 また別の幼稚園では卒園時の持ち物の整理や使ったロッカーの清掃を、先生が指導するのではなく、3日間のうちに各自で自分流に整理整とんしたり、家へ持ち帰るものを選ぶなど、計画をたてて実行しました。子どもは目標や目的がはっきりしているので、期待通りのよい経験だったといいます。
 家庭でもこうした場面はたくさんありますが、親は子どもがこの点で未成熟なのを気付かなかったり、その未成熟が親自身が安易に手を貸した結果と気付かない親もいます。子どものやろうとする意欲を生かして、自己管理能力の貴重な経験を十分させてあげていただきたいと思います。

vol.6 患者さんに多い“歯の根の治療”

 歯科の治療というと、虫歯を治したり被せ物をしたり、目に見える治療だけと思いがちですが、実は見えない部分の治療も多いのです。その一つが、歯の根の治療です。どんなに良い差し歯を入れたとしても、肝心の土台(根)がしっかりしていないと意味がなく、歯を残すために最も大切なことです。
 「この前虫歯を治療したはずなのに、噛むと痛くなってきて…」という患者さんがよくいますが、それは、歯の根が炎症を起こしているためです。
 歯の中には神経が通っていますが、虫歯治療等の際に“削るとしみるから”と、安易に神経を抜いてしまうケースがあります。痛みなどの症状がない場合は、できるだけ神経は抜かない方が歯のために望ましいです。やむを得ず神経を抜く場合には、通常、抜いた後の空洞に薬を詰めてふさぎます。しかし空洞のまま、あるいは不完全な詰め方だと、そこに菌が入り込んで培養し、のちに炎症などを引き起こし、自覚症状となって表れてくる場合もあるのです。
 痛みがあってどうしても神経を抜かざるを得ない場合は、抜いた後、すき間ができないよう緊密に薬を詰めます。これは保険治療でできます。

1128_natori_before.jpg1128_natori_after.jpg
治療前(左)は黒く見える空洞部分が、治療後(右)は薬を詰めて白く見えます

About 2009年11月

2009年11月にブログ「コラム」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2009年10月です。

次のアーカイブは2009年12月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35