私たち自身が、人や社会に役立つ大人へ…

上野通子のちょっとからくちTALK 私たち自身が、人や社会に役立つ大人へ…  前...

上野通子のちょっとからくちTALK
私たち自身が、人や社会に役立つ大人へ…

 前回は、「つ」の付く年齢、9歳までしっかり子育てをしたら、あとは「夫婦の時間を大切にしながら、自分のステップアップに時間を割きましょう」と書きました。
 子どもたちは親の姿をしっかり見ています。目的意識を持ってイキイキと生きる親を見て育つ子どもは、大人への憧れや夢や希望も持てるのではないでしょうか。
 「苦しいこともいっぱいあるけど、やっぱり人生は楽しい」と、私たちもおおらかに笑って人生を楽しみたいものです。

「自分に受けた恩恵は、余裕ができたら社会に返す」

 以前イギリスに住んでいたとき、こんなことがありました。
 私たちが住んでいた家の隣のご主人が、50歳で仕事を辞めてしまいました。イギリスは当時、55歳で仕事を退職し後は年金暮らしをするとは聞いていましたが、でもそのご主人は5年も早く退職してしまいました。
 私は、こんなに若いうちに辞めたのでは、毎日が退屈だろうと、人ごとながら心配していました。ところがご主人は、退職した次の日から毎日出かけていたのです。実は彼は次の日から、セカンドハンドショップ(リサイクルショップ)で働いてました。
 そこは、いらなくなった物を寄付してもらいそれを売って、アフリカやカンボジアの難民などへ寄付することが目的のお店です。もちろんそこで働く人は無償です。
 私は、「まだ若いのに、どうして?」と不思議でなりませんでした。
 「ある程度生活できるお金ができたので、仕事を辞めました。これからは国のために、そして困っている人のために、少しでも役に立つことをしていきます」と話していました。私たちは生きる権利ばかりを主張して、生きる義務や責任を忘れたり、人にやってもらうのが当たり前と思ってしまいがちですが、隣のご主人の考えは、『人は一人では生きていけない。多くの人に助けられてこれまで生きてきたのだから、自分に余裕ができたのなら、人や社会のために自分でできることをやる』ということのようでした。子どもたちは、そういう大人を誇りとして育ちます。いつかは自分も、国や社会の役に立つ人間になれると思って育つので、当たり前にボランティアができるのでしょう。

 イギリスでは、1年くらい社会で働いてお金を貯めてから、大学に入る学生が多くいます。そういう人は目的意識をしっかり持っています。日本の、今の大学生はどうでしょうか。“自分で稼いで”とまでは言いませんが、せめて親に感謝する気持ちは持っていて欲しいものです。『子どもは親の背中を見て育つ』。その通りですね。