第12回 ピロリ菌感染症
| ヘリコバクター・ピロリ菌は約30年前にオーストラリア人により発見されました。小... |
ヘリコバクター・ピロリ菌は約30年前にオーストラリア人により発見されました。小児の感染率は5%〜15%程度であり、感染率は年々減少してきています。小児では5歳ごろまでが感染の高い時期です。感染のときにはなんの症状もありません。家族から感染することがふつうで、特に母から子への感染が多いとされています。感染経路は良くわかっていませんが、口から口、ないしは糞便から口です。
ピロリ菌によって起こる小児にみられる疾患には、
1.胃・十二指腸潰瘍…十二指腸潰瘍の約80%、胃潰瘍の約40%に菌が証明されます。治療は除菌療法がまず第一の選択です。
2.慢性胃炎…発症に菌がかかわっていることは明らかになっています。しかし、慢性胃炎と腹部症状との関連ははっきりしていません。したがって、除菌治療は、その必要があるかどうかをよく検討してからになります。
3.鉄欠乏性貧血…10歳以降の鉄欠乏性貧血で、鉄剤の投与で改善しても、すぐに再発する場合の約60%〜70%がこの菌によるものです。このような場合、除菌が成功すると再発を認めなくなります。小児の鉄欠乏性貧血は、鉄の摂取不足、消化管出血、成長に伴う鉄需要の増加があり、その次に多いのがピロリ菌によるものとされています。ピロリ菌にとって、鉄は生命の維持・菌の増殖に必須の元素とされています。すなわち、ピロリ菌は、鉄を巧みに利用し、胃で生息しているとされています。
4.慢性の特発性血小板減少性紫斑病…ピロリ菌が原因。成人に比較して小児では少ないが、通常の治療がうまくいかないときには考慮する必要も。
除菌療法…潰瘍治療剤(プロトンポンプ阻害剤)と2種類の抗生物質(アモキシシリン、クラリスロマイシン)の3剤を併用した治療をします。投与期間は7日〜14日間の治療で、70%〜80%の除菌率が期待できます。
診断法等はかかりつけの先生にご相談ください。














