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こどもの腎臓病


<こどもの腎臓病>

〈Vol.35〉


〈Vol.35〉
   春の学校検尿の時期となりました。今までも何回も書いてきましたが、正しい採尿のしかたをして、正常なのにひっかからないようにしましょう。

  学校では1回目の検尿で異常を認めた子どもは2回目の検尿を実施します。正常な人が異常尿としてひっかからないように正しい採尿のしかたについて述べます。
 採尿する前日の夕食で甘いものを取り過ぎないようにします。また夕食後にジュースや甘いものを検尿前日にはとらないようにします。取り過ぎると正常の人でも尿糖が陽性となることがあります。
 正常な人で一番多くみられる起立性蛋白尿にひっかからないようにするには、夕食後2時間くらい安静にして、寝る前に必ず排尿してください。そうすることによって正常な子どもでは早朝尿は蛋白陽性とはなりません。安静にしないと正常な子どもでも尿に蛋白がでることがしばしばみかけられ、異常尿となって、二次検査、三次検査(病院に受診し、採血する)までしなければならなくなります。時間とお金の無駄遣いです。
 女子の場合、生理尿が問題となります。早い子で小学4年生から生理がはじまりますので、検尿当日が生理の時は尿を提出しないでください。生理尿を提出しますと、血尿と蛋白尿が陽性となり異常尿となってしまいます。生理のときはその旨担任に話をして提出しないでください。そのために1〜2週間後にもう一度検尿する予備日がもうけられています。
 最後に、学校検尿は早期に腎臓病および糖尿病を発見し、重症になる前に治療して治すことを目的としています。その目的から全員が検尿することが大切です。学校によって尿をあまり提出しない所があります。不登校の子どもも親かクラスの子どもに尿を持っていってもらって、検査を必ず受けましょう。不登校の子どもは運動不足と過食から糖尿病になっていることがあります。
 保護者は以上述べたことを頭にいれて採尿させてください。検査前日の夕食と就寝前に甘いものをとらないこと。寝る前に安静にして完全排尿して、起床時の中間尿を採尿すること。生理時には尿を提出しないこと。以上を守れれば、かなりの子どもは正常尿です。

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〈Vol. 15〉


〈Vol. 15〉
  腎臓病で恐いのは、腎臓の働きが低下し、ついには駄目になってしまうことです。急速に悪化する急性腎不全と、徐々に悪化する慢性腎不全があります。今回は、急性のものについて述べます。

 急速に腎臓の働きが悪くなるときには、尿の出が悪くなること、むくみ、体重の増加、顔色が悪いこと、尿が赤くなることなどから気づかれて、医療機関を受診します。この病気は一刻をあらそうものですから、上記の症状に気づいたら、夜でもすぐに医療機関を受診してください。
 血液検査で腎臓の働き具合をみる、尿素窒素、クレアチニンを測定すると、異常高値を示しています。冬に流行する吐いて、下痢をする冬期下痢症でも、乳児・幼児では急速な脱水で尿素窒素、クレアチニンが上昇しますが、尿には蛋白・血尿はなく、点滴で水分を補給してあげれば、大丈夫です。
 本当に腎臓がやられて、急速に腎機能が悪化してくる病気に、急速進行性糸球体腎炎という病気があります。これは血尿・蛋白尿があり、採血でも時間の経過につれて、どんどん尿素窒素、クレアチニンは上昇し、貧血も伴ってきます。特効薬はメチルプレドニゾロンの大量投与です。早期に診断して、この治療をすれば人工透析に至らずに治ります。
 10歳の男の子です。尿が赤いことに気づかれ、近医を受診しました。検尿で血尿と蛋白尿があり、血液の尿素窒素とクレアチニンが軽度上昇していました。直ちに入院し、2日後の血液検査でさらに尿素窒素とクレアチニンが上昇しましたので、小児腎専門医がいる獨協医科大学へ転院してきました。
 急速進行性糸球体腎炎と診断して、直ちにメチルプレドニゾロンの大量投与しましたが、時期が遅かったため腎臓の機能は改善せず、血液透析を5日間実施しました。血液透析によって腎臓の悪化はくい止められ、改善し、良くなりました。腎生検で急速進行性糸球体腎炎の特徴である半月体を確認しました。その後の経過は順調で、2回目の腎生検で、半月体の消失を確認しました。今はもう医療機関にかかっていません。
 顔のむくみ、尿の出が悪くなったとき、尿が赤いことに気づきましたら、直ちに医療機関を受診して、腎臓の機能が悪くなっているかどうか検査してもらいましょう。

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紫斑病性腎炎


〈Vol. 14〉 紫斑病性腎炎
 激しい腹痛と下肢に出血斑を認める血管性紫斑病後におきる、紫斑病性腎炎について述べます。

 激しい腹痛をきたす子どもの病気は、たくさんあります。激しい腹痛ということで急性虫垂炎(いわゆる盲腸炎)を疑って、外科を受診しないでください。子どもの病気はまず、小児科医に診てもらってください。小児科医が診察して外科的疾患が疑われましたら、小児科医は外科医に紹介します。この順番が逆ですと、血管性紫斑病による激しい腹痛をみのがして、よく急性虫垂炎として緊急手術となることがあります。
 この血管性紫斑病はよく診察すると下肢に特有な紫斑が多数みられます。また、関節痛も認めることもあります。この疾患は開腹手術をしますと、悪化します。腹痛、下肢の紫斑、関節痛の症状がプレドニゾロンなどの副腎皮質ホルモン剤で良くなったあとに、血尿あるいは蛋白尿が出現してきます。これが紫斑病性腎炎です。血尿だけのものは無治療で、血尿は消失することが多いです。蛋白尿が高度のものは、むくんでくるネフローゼ症候群となることがあります。予後の悪いものは高血圧と血尿・蛋白尿が高度の例です。
 そういった例では、腎生検をします。腎生検の組織像はほとんど正常のものから、半月体形成がたくさんあるものまで様々です。半月体形成が75%以上ある例ではどんな治療にも反応せず、腎不全となってしまいます。免疫抗体染色ではIgAが強く染まってきますので、vol・7で述べましたIgA腎症と病理学的には見分けはつきません。
 8歳の男の子です。激しい腹痛で夜間救急外来を受診しました。小児科医が診察したところ、下肢に紫斑がありましたので、小児科に入院させて、保存的治療をしました。入院時の検尿は異常ありませんでした。血液検査では、凝固系のXIII因子が著明に低下していました。腹痛は入院3日後には消失し、下肢の紫斑も入院8日目には消失しました。しかし、入院10日目に血尿・蛋白尿が出現してきました。一時退院して経過をみていましたが、血尿・蛋白尿が4カ月以上続くため、腎生検をしました。幸い半月体形成はなく、一部の糸球体の増殖だけでした。1年後には血尿・蛋白尿はごく軽度になり、経過観察中です。
 激しい腹痛のある子どもの診察はまず、小児科医に診てもらってください。長ズボンをはいている季節では下肢の紫斑を見落とされがちですので、保護者も注意して、下肢に普段みかけない赤紫色の紫斑があるかどうか注意してください。紫斑病性腎炎になったら、小児腎専門医に診てもらってください。

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赤ちゃんの発熱


〈Vol. 13〉 赤ちゃんの発熱
 赤ちゃんの発熱の多くは、風邪か中耳炎か尿路感染症です。赤ちゃんの発熱のときには必ず中耳炎の有無と検尿をしてもらいましょう。

 赤ちゃんが熱をだす原因はたくさんあります。多くは風邪のことが多いですが、咳・鼻汁がなく、咽頭(のど)も赤くなく、胸の聴診でも異常がないときには、中耳炎か尿路感染症を考えます。
 中耳炎は耳鏡で簡単にわかります。尿路感染症は尿の検査をしないとわかりませんが、今は試験紙法で一滴の尿である程度診断できます。おむつにした尿に試験紙をあてたり、男の子ならおちんちんの先の1滴で大丈夫です。尿路感染症ですと、試験紙の白血球の項目が陽性(1+~3+)となり、また細菌尿の証拠となる亜硝酸が陽性(1+~3+)となります。陽性となりましたら、血液検査をして、白血球数が異常に増加していたり、炎症反応をみるCRPが強陽性のときには、入院治療が必要です。抗生物質で治療する前に、ちゃんとした尿検査と尿の細菌培養をして、原因となる菌を同定して、それに効果のある抗生物質を使用します。
 多くは大腸菌が原因菌です。尿路感染症と診断されましたら、腎臓と膀胱の超音波検査をして、奇形や膀胱尿管逆流の有無を調べます。異常があればもちろんですが、異常がみつからなくても、赤ちゃんの尿路感染症では膀胱に造影剤をいれて(危険はありません)、きちんと膀胱尿管逆流があるかどうか調べておく必要があります。その程度がひどいときには、手術が必要です。
 生後3カ月の男の赤ちゃんです。急に高熱をだし、元気がなくなり、嘔吐して、ミルクを受けつけなくなりましたので、救急外来を受診しました。風邪の症状はありませんでした。試験紙で検尿したところ、白血球は(3+)、亜硝酸塩も(3+)でした。血液検査では白血球数とCRPの著明な増加がありましたので、入院させました。尿培養の結果は大腸菌でした。入院後抗生剤の使用で3日目には下熱し、CRPも陰性化しましたので、入院8日目に退院しました。超音波検査では異常は認めませんでした。外来での膀胱造影検査で左側に II 度(0~V度まで分類されています)の膀胱尿管逆流を認めましたので、内服の抗生物質を1日1回予防的に投与して、6カ月後に2回目の膀胱造影を実施しましたところ、0度と正常となっていましたので、抗生物質は中止しました。その後も再燃は認めていません。
 赤ちゃんの発熱の原因に尿路感染症があることを覚えておいてください。

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副腎皮質ホルモン剤の副作用について


〈Vol. 12〉 副腎皮質ホルモン剤の副作用について
 ネフローゼ症候群・膜性増殖性腎炎の腎疾患、気管支喘息、膠原病の時に使用される副腎皮質ホルモン剤の副作用について述べます。

 副腎皮質ホルモン剤(主としてプレドニンが使用される)は、先に述べた疾患の特効薬です。劇的に効く薬剤ですが、たくさんの副作用もある薬ですので、その副作用について知っておかなければなりません。一度使用するとなかなか中止できないことがあり、依存性となり重篤な副作用が生じてきます。
 外見上だれもがわかるのは顔が満月様になる満月様顔貌、肥満、多毛、ニキビです。これらは医学的には重篤な副作用でありませんが、思春期の女の子にとっては精神的に耐えきれない副作用です。周囲の者はそのことに配慮してあげる必要があります。子どもでは身長の伸びも抑制されます。骨ももろくなり、時には骨折(主として背骨がつぶされます)も起きます。眼にも緑内障、白内障が起きてきますので、眼科に定期的に検査してもらいます。一番恐ろしいのは、嘔吐するような病気になって、プレドニンが急に服用できなくなった時です。急性副腎不全となり、発熱・ショック状態となります。そのようになる前に、服薬できなくなったら、注射してもらいに病院を受診することです。子どもには少ないですが、糖尿病、胃・十二指腸潰瘍、腎・尿路結石なども起きることがあります。さらに、精神的に落ち着きがなくなり、イライラしたり、発作的な行動を起こすことがあります。
 12歳の男の子です。ネフローゼ症候群でプレドニンを使うとよくなりますが、減量・中止しようとするとまた尿蛋白が出現して、再発をくり返していました。そのため、プレドニンを長期に大量服用せざるをえなくなっていました。腰痛を訴えたため、背骨のレントゲン写真をとりましたところ、骨折がありました。またMRI検査で硬膜外脂肪腫症(脊髄を増殖した脂肪組織が圧迫している状態)もありました。免疫抑制剤のシクロスポリンを多目に使用しましたところ、プレドニンは幸いにも中止でき、腰痛も消失し、骨折と硬膜外脂肪腫症も改善しました。シクロスポリンも腎障害という重篤な副作用がありますので、短期間で通常量に戻しました。
 副腎皮質ホルモン剤(主としてプレドニン)はいろいろな難治性疾患の特効薬として使用され、劇的効果があります。しかし、たくさんの副作用があるので、副作用をチェックしながら使用します。早めに中止したい薬ですが、中止できないのが実状です。何か疑問点がある時には、遠慮なく主治医に薬の副作用ではないかと質問してください。

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学校検尿で糖尿病が発見


〈Vol. 11〉 学校検尿で糖尿病が発見
 学校検尿で糖尿病が発見されます。多くは II 型糖尿病で肥満の子どもが多いです。尿糖が強陽性の子どもは直ちに医療機関を受診してください。

 学校検尿は、昭和49年より早期の慢性腎不全を発見する目的で施行されてきました。近年の飽食と食事の洋風化の時代になって、肥満児が多くなり、それにしたがって II 型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病)が増加するようになりました。そのため、早期の糖尿病を発見する目的で、学校検尿で尿蛋白以外に尿糖の検査も昭和54年から義務づけられるようになりました。糖尿病も末期には腎臓病が合併してきて、腎不全になります。今や国民病となっています。成人では6人に1人が糖尿病、あるいは予備軍です。
 糖尿病以外に尿糖の陽性になる多くの場合は、検尿の前後に、甘いものの食べ過ぎやジュースの飲み過ぎによるものと、腎性糖尿です。この二つとも治療の対象にはなりません。
 糖尿病は2種類あります。 I 型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)はやせた子で、急速に症状が出現してきます。すなわち、突然口渇・多飲・多尿がみられ、そのままにしておくと昏睡をおこしてきます。この病気は、血糖をコントロールしているインスリンの産生が著しく低下しておきるもので、インスリンの補充のために毎日血糖の検査と、インスリン注射をしなければなりません。そのため学校でも注射をしなければならず、担任教師がクラスの子に病気の説明を十分にして理解させないと、いじめの対象となり、不登校になります。
 もう一つは、学校検尿で発見されることが多い II 型糖尿病です。発症はゆるやかで、肥満の人に多いです。治療の基本は食事療法と運動療法ですが、一時的にインスリンが枯渇して、インスリン注射を使用することがあります。家族にも肥満の人や II 型糖尿病の人がいることが多く、一緒に治療する必要があります。
 中学校1年生の女子です。4月の学校検尿で尿糖(2+)、5月の二次検尿で尿糖(4+)と悪化し、体重も80kgと肥満でしたが、多飲・多尿が出現し、体重は60kgに減少しました。病院の検査では血糖は空腹時で、256mg/デシリットルと異常高値でした。尿ケトンは(-)でした。もう1~2カ月発見が遅れていたら、昏睡になっていたかもしれません。
 学校検尿で早期に発見されたケースですが、口渇・多飲・多尿・体重減少がみられましたら、その時点で病院へ行きましょう。糖尿病は、恐ろしい国民病です。くれぐれも肥満に注意しましょう。

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