10月31日 上野通子の……ちょっとからくちTALK
上野通子の……ちょっとからくちTALK
みんなで楽しく食べる。
これが給食なんだな
給食に関して数年前に論争がありましたよね。「いただきます」なんて必要ないとか…。“給食費を払っているから、いただきますなんて言わなくたって、食べていい権利はあるんじゃないの”という考えから始まったらしいんですけれど。
イギリスでは、お祈りをしてから「レッツ・イート」と言って食べます。たぶん日本の「いただきます」と同じで、食べ物に感謝しますということなんです。どの国でも動植物の命をいただいて、私たちは生かされているのだから、食事の前には皆さんで感謝しましょうっていう時間をとっている。だから、まず食べる前に「いただきます」と言って手を合わせる…これはもう日本の文化として、当たり前のことと考えてもいいんじゃないでしょうか。
本来の日本の給食はというと、戦後の日本が混乱し貧しかった時期に、弁当を持ってこられない子がいた。国は子どもみんなに同じ食べ物を与えようということで、コッペパンと脱脂粉乳を給食として配った。私はそこに給食の原点があると思うんです。みんなで同じ物を同じ学校で一緒に仲良く、楽しく食べることに意義があったはずです。
イギリスでは、今でも給食を味も質も一流にしようなんていう考えはおそらくないですね。以前「給食をおいしくする努力はしていますか?」と聞いたら、「いいえ、普通ですよ。どんな物でもみんなで食べればおいしく感じるじゃない」って言われてドキッとしたんですよ。みんなで楽しくおいしく食べて、社会性を身につける。これが給食だなと思いました。
栄養バランスは家庭料理で
今の日本の給食は、子どもたちの栄養のバランスを考えた、味にも質にもこだわったものを望んでいる親が多いのではないでしょうか。
イギリスの給食は質素です。例えば大きなジャケットポテトが1つど〜んとお皿にのっていて、あとは水とつけあわせの温野菜か生野菜くらいのときも多いです。「これ、栄養バランスは?」って言ったら、「あらそんなこと気にしないわ。足りない分は、家庭でまかなうのが当然でしょ」って。あくまでも家庭の味を補佐するために給食があるんです。親が「学校で何食べた?」って聞いて、子どもが「ジャケットポテトとサラダ」って言ったら、「じゃあ今日は、お肉にしましょうか」とか。バランスを考えるのは、やっぱり家庭の仕事ですよ。
もしそれでも栄養のことを重視したいのなら、学校には栄養士さんがいるんだから、「今日足りなかった分はこれなので、家で摂ってください」みたいな便りを出していただけるといいですね。

上野通子さん…16年間国語科教師後、
4年間渡英し現地で日本語教師を務める。
帰国後は宇都宮文星女子高等学校国際交流センター長。
現在は栃木県県議会議員として活躍中
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